売掛金の回収不能を防ぐための対策

日本で一般的な売掛制度

日本で会社間の取引を行う場合には売掛制度を利用するのが一般的となっています。

これは商品を先に相手に納品し、売買契約に基づいて一定の期限の経過後代金を支払ってもらうものです。

この場合経理上の売り上げは商品を納入した時点で成立するため会社の帳簿上は売り上げが上がったことになりますが、実際の現金が入金されるのは一定の期間を過ぎた後になるため帳簿上の数字と実際の現金の金額が合わない状態が続くことになります。

その場合に問題となるのはその期間に支払い等が発生する場合です。
帳簿上は会社の経理状態は黒字であるにもかかわらず、支払いを行うための現金がないため支払いが行われず、場合によっては資金繰りができずに倒産してしまうこともあります。

これを黒字倒産といい、日本の企業では比較的多い倒産のパターンとなっています。

日本のビジネスにおいては会社間の信用が非常に重要な要素となっていますが、場合によっては支払期限になっても代金を支払わないケースも少なくありません。

この場合には売掛金を回収する手段を講じることが必要になってきます。

<内容証明郵便の送付>

一般的には弁護士に相談し法的措置をとることが必要になりますが、まず有効とされるのが内容証明郵便の送付です。

内容証明郵便は様々な場面で利用されますが、一定の書式に則って相手方に送付することで、配達された時点で相手方がその内容について理解したことになるため、記載した内容に相手が従わない場合さまざまな法的措置を講じることができます。

例えば一定の期限内に売掛金を支払わない場合、商品を引き上げたり何らかの対抗措置を講じることが法律的に認められることになります。

そのため未払いが生じたらまず第一に内容証明郵便を相手方に送付することを意識することが大切です。

すぐに法的措置に訴えることができない場合も少なくない

しかし一時的に売掛金の入金が遅れたからといってすぐに法的措置に訴えることができない場合も少なくありません。

非常に親密な信頼関係を持っている企業同士の場合には、相互に取引があるためそれぞれのリスクを十分に考えて行動することが大切です。

例えば双方に売掛金がある場合には相手方の売掛金をこちらの売掛金で相殺するといった手段もよく用いられる方法です。

この方法を用いることで比較的円満に解決できることも多く、場合によっては相互に良好な関係を継続することもできるので一般的によく行われている方法でもあります。

<しっかりと売買契約を結ぶ>

日本の商取引の制度において売掛の問題を発生させないためには第一にしっかりと売買契約を結ぶことが大切です。

売買契約では売掛に関する期限について明確に規定することが求められますが、この内容について十分に確認した上で自社の経営状態に一致しているかどうかを考慮することが大切です。

特に大企業との取引を行う場合、大企業では支払い期限を比較的長くすることが多いため、場合によっては自社のキャッシュフローに大きな影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。

具体的には3ヶ月以上支払期限がとられている企業もあり、この場合には売り上げを上げてから3ヶ月以上実際の帳簿と現金の金額が合わない状態が継続することになります。

3ヶ月と言う長期の場合様々な支払いが発生してしまうことも多くその間に現金が手元にない場合には支払いができずに大きな問題となってしまうことも少なくありません。

そのため大企業との取引の場合には支払い期限を十分に確認し自社のキャッシュフローが円滑に運用できる期限であることを検証することが必要です。

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大企業が支払い期限を長くしている理由とは?

大企業が支払い期限を長くしている理由には取引先の企業体力を見ている面があります。

大企業が商品を発注したり作業を依頼する場合、取引先の信用度が最も重要な要素となります。

仕事を依頼したり商品を発注している取引先がその途中で倒産したり、経営状態がおかしくなってしまう事は大企業にとって大きな損失となる上、コンプライアンスの観点からも様々な問題を引き起こすリスクがあるため取引先を十分に吟味することが求められます。

そのため多くの大企業ではあえて支払い期限を長くしその間のキャッシュフローが円滑に運用できる企業体力を持つ取引先を選別していることになるのです。

大企業は売掛の回収不能防ぐためにこのような対策を行っています。

<一般企業は取引先の選択肢を広げる>

しかし一般企業が支払い期限を長くしたのではなかなか取引をしてくれないケースも少なくありません。

そのため一般企業では支払期限を比較的短く設定することで取引先の選択肢を広げる傾向があります。

ただしこれによって取引先の経営状態を確認することができなくなるため、売掛の回収不能を防ぐための方策としては、相手側との相互の取引を行い相互に売掛を持つことで万が一の場合に相殺できるような仕組みを持っておくことが重要です。

これを行うことによって相手方が売掛を支払ってもらえない場合、すぐに自社の売掛の支払いを凍結し相殺することができるようになります。

またこれと併せて売買契約書を相互に厳格に取り交わし、法的手段に訴えることも十分に準備しながら取引を行うことが必要です。

 

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