都市部におけるゴミの埋め立ての歴史を井草実業が解説

ゴミをできるだけ少なくするために

生活をしていく中でゴミをできるだけ少なくする動きが自治体から出ており、リサイクルできるものはリサイクルをしていくように求められています。
資源を大切にすることももちろんこの中には含まれていますが、それだけが理由ではありません。

実は埋め立て地の問題があって、そのようなことが指摘されています。
ここ20年以上、そろそろ埋め立て地が限界であると言われ続けています。

特に東京に関してはこれ以上ゴミを埋めるスペースがなく、10年以上の余裕こそあるものの、抜本的な見直しをしなければスペースが枯渇することも考えられ、死活問題です。

井草実業より引用

そもそもなぜゴミを埋め立てるようになったかですが、これには伝染病が大きく関係しています。
幕末の頃、日本ではコレラが大流行し、至るところでコレラの感染者が出て相当な死者を出したと言われており、これによってゴミの問題をなんとかしないといけないという動きにつながります。

開発途上国では生ゴミなどもそこらへんに捨てており、それが腐敗を起こすことでばい菌などの繁殖につながり、不衛生になっていきます。
幕末の江戸もそのような状況にあったとされ、明治維新をきっかけに衛生面に関する対策を立てていき、今につながります。

明治時代にはそれまで民間が行なっていた清掃事業を今のように自治体が行うようになります。
そして明治33年にはできるだけ焼却処理をする、いわゆる努力義務が定められ、昭和5年には焼却処理することが自治体の責務であるとより強い言葉でできるだけ焼却処理をしていくことが求められるようになります。

現在は燃やせるものは必ず焼却するようにしており、伝染病が発生するような状況にはありません。
ただ、飲食店から出た廃棄物をそのままにしておくとハエがたかるように、一時期は広い範囲でこうした状況に陥っていた時代もあります。

高度経済成長期にゴミの量も一気に増えた

高度経済成長期に突入すると、東京の人口は一気に増え、その分ゴミも増えていきました。
そうなると焼却処理もなかなか追いつきません。
そのため、仕方なく埋め立て場になんの処理もしないで持ち込み、それを埋めていましたが、当然ながら焼却をしていないために様々な問題が浮上します。
それがハエの大量発生です。

現在は夢の島として陸上のトラックコースなどがあるエリアも以前は埋め立て場として使われていました。
使用されていたのは高度経済成長の時代だったためにひっきりなしに収集車がやってきて置いていった結果、ハエが大量発生します。

ある時、大量発生したハエが強い風に乗って周辺の地域を襲う出来事がありました。
衛生的に最悪の状況となったため、何が何でもハエをどうにかしないといけないということになったものの、発生源が断崖のようになっており、人が近づいてどうにかできるような状況になく、防虫剤の散布もうまくいきません。

そこで警察や消防、自衛隊が出動して発生源のエリアを焼却する荒業に出ます。
夢の島焦土作戦と呼ばれ、これを行なったことでハエの大量発生をどうにか止められましたが、このことは全国に報道され、自分たちのこととして取り組むようになっていきます。

井草実業が見る埋立地の問題

こうした埋め立て地は利用を終えてからもまだまだ処理をし続けなければならない状況にあります。
例えば、現在はゴルフコースになっている若洲地区は昭和50年前後に搬入が終わりましたが、今でも雨によって出てきた水を処理して安全な状態にしています。

見た目には綺麗な緑の多いエリアですが、その地中にはその当時の廃棄物がたくさん埋められています。
そこに雨水が浸透すれば、当然ながら汚染された水へと変ぼうを遂げます。

これを処理することで周囲への環境に配慮した形をとることができます。
長い付き合いをしていかないといけないことがよくわかるはずです。

どのように処分するかというのは東京だけの問題ではなく、全国それぞれの課題でもあります。
特に焼却施設の問題は自治体は必ず抱え、激しい議論になっていきます。

近くの住民にとってみれば、近くに焼却施設ができることは環境が変わるのではないかと不安になります。
過去に東京では江東区の住民がかなりの影響を受けて、悪臭などに悩まされました。

また杉並区で清掃工場の建設反対で揉めた時には杉並区からの廃棄物を江東区の中に入れさせない動きまで出たほどです。
それほどまでに住民からすれば死活問題であり、激しい議論になることは必然です。

まとめ

こうした歴史を知っておけば、なぜ減らさなければならないのかがわかります。
資源を大切にしなければならないと子供の時から教わってきましたが、廃棄物をなんとかする行為も無限ではなく、有限の行為です。

その事実を知っておけば意識をより高められます。
焼却施設が高性能になり、かなりの量まで圧縮し周囲への環境被害が出ないように設計されており、安全です。
だから住民は何もしなくていいわけではなく、できることを少しでも実行していくことでより長く利用できるようになります。